『キッドナップ・ツアー』角田光代

キッドナップ・ツアー

キッドナップ・ツアー

 『八日目の蝉』が話題ですが(今日のお昼もそれと「プリンセス・トヨトミ」で盛り上がってた)、これはそれよりずっと前に書かれた角田さんの誘拐のお話です。といっても、お父さんに誘拐された娘の話です。なんか『フラミンゴの家』とよく似た感じ。普段は離れてクラス父娘のひと夏の話。でもここはよかった。

「…(略)おれがろくでもない大人になったのはだれのせいでもない、だれのせいだとも思わない。だ、だから、あんたがろくでもない大人になったとしても、それはあんたのせいだ。おれやかあさんのせいじゃない。おれはあんたの言うとおり勝手だけど、い、いくら勝手で無責任でどうしようなくても、あんたがろくでもなくなるのはそのせいじゃない。そ、そんな考えかたは、お、お、おれはきらいだ」…(略)…
「きらいだし、かっこ悪い」

ほんまにそうやなぁ、と。