『告白』湊かなえ

告白

告白

 読みたいなぁ、でも借りるの大変そうやなぁ、やっぱり買うしかないかなぁ、買おうかなぁ、と思っていたら、
「『告白』買ったけど、『1Q84』読むから先に読む?」と妹から電話が。ラッキー!しかも家まで持ってきてもらってしまった。持つべきものは「ものくるる妹」ですな。
 第一章を読んだとき、「あれ、これ短編集だったかな?」と思ってしまいました。これで完結してます。でもまだまだ話は続いてて、本当はどうなの?どうなるの?と、どんどん読み進んでしまい、結局1日で読んでしまいました。
 どの章もみんな一人語り、つまり告白体(こんな文体あるのか?)なんだけど、語る媒体が違うのです。直接語る、手紙、日記、独り言、サイト、電話。それぞれの雰囲気を出そうとする演出などを面白がっておりました。
 特に、第三章の日記がおもしろかったです。「事実と意見はかき分けるのが大切」(by『理科系の作文技術』木下是夫)の思い切り困った例になっていて、ここまで都合よく解釈してできごとを受け止められる母親像が作られたことにも感心しました。
 読み進むにつれてだんだん「藪の中」になってきて、うわー、ごにょごにょなまま終わってしまうのか?と思ったら、そこはさすが本屋大賞、すっきりきっちり衝撃のラスト(ああ、私ったら陳腐なキャッチコピー屋さんになってしまった)が持ってこられております。
 人を殺すということ、裁くということ、家族の形、など、深読みしたり突き詰めて考えたりする読み方もありそうですが、私はもう、「幼い一人娘が殺された」という事件が起こった時点で、そういうことに関して思考停止してしまったので、そういう切り口での感想はパスさせていただきますね。