『家族八景』筒井康隆

家族八景 (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)

 パーマの間、久しぶりに読み返そうと持って行きました。やっぱり筒井康隆はおもしろいわぁ。
 七瀬の「読み」が怖いのは、なんと言っても「青春賛歌」と「亡母渇仰」ですね。七瀬もよく気が狂わないなぁ…
 でもやっぱり「日曜画家」が一番好き。思考が抽象絵画化するなんて、そんな発想どこから来るんだか。こういう思いつきが出来てしまうとこがすごい。初めてこれを読んで以来、苦手な人がしゃべってたり、聞きたくないことを言われたりしているときは、私の頭の中でムラサキの正三角形がプルプル震えています(改めて読み返すとオレンジの二等辺三角形でした)。
 縦中横振り分けを駆使して、頭の中で同時に複数の思考をしている状態を再現しているけど、これも「文章は時系列に並んだ文字の集まり」を見事に破壊しているわけで、やはり筒井康隆はすごくておもしろいです。