『天空の蜂』東野圭吾

天空の蜂 (講談社文庫)

天空の蜂 (講談社文庫)

 で、『パラレルワールド・ラブストーリー』の解説が新井素子で、彼女は東野さんがいかにタイプの違う小説を書くかを力説するのですが、その中であげてくれたのがこの『天空の蜂』でした。その紹介を読んでふらふらと借りてきて読みました。
新井さんの絶妙な紹介文を引きますね。これを読んでも全然支障なく本編を楽しめますが、
「あらすじをちら、とも知りたくない!」場合は飛ばしてください。
(ここからネタバレが入ります)

えっと、自衛隊に納入されたヘリが乗っ取られ、爆発物をつまれて、原発の上でホバリングしている。犯人の要求は、「日本中の原発をいついつまでに停止せよ、さもなければ、このままヘリを原発の上に落とす」ってもの。だが、勿論日本政府はそんな要求に従う訳にはいかないし、しかも、遠隔操縦でヘリを乗っ取った犯人側にも意外なことに、ヘリには子供が紛れ込んでいた!果たして時間までに、政府は事態を何とかできるのか?また、ヘリに乗ってしまった子供を救うことは可能なのか?ってお話ね。(『パラレルワールド・ラブストーリー』の新井素子氏の解説より)

 『パラレルワールド・ラブストーリー』と同じく、こちらも新型ヘリの構造について理系的な説明が満載で、現実と想像の境目がややこしくなります。でも、こっちの方が人の脳ではなくてメカの話なので信憑性があっておもしろかったです。エンジン停止の間隙を突いてマニュアルモードにするあたり。
 あと、犯人を追い詰める刑事さんたちの地味な捜査、子供救出劇、読ませますね−。
 刑事さんたちの地味さは渋いし、救難隊員の台詞はいちいちかっこいいし、救難場面は手に汗握るし、犯人たちもかしこくて怖いし、これは絶対映像にしがいあるやろなぁ、キャストも豪華に組めるやろなぁ、と思うのだけど、原発自衛隊といじめの話だから無理かなぁ…
でも、

「なるほど、するとこれで、ほんの少し記録更新というところだな」

とか、

「少し静かにしてろ。葬式はまだ終わっちゃいねえんだ」

とか、かっこいいお兄さんが言うところをみたいなぁ。