『ハルカ・エイティ〜So happy life in case of HARUKA』姫野カオルコ

ハルカ・エイティ

ハルカ・エイティ

 帯によりますと、

 やっぱ新時代の婦人はこれくらいさばけてなあかん
 昭和の戦前、戦中、戦後をごく平凡に、だが常に前向きに生きた一人の女性の物語

 であります。
 ハルカさんの80歳までの歩みです。きっとご自分のご親戚がモデルなんでしょうね。ものすごうドラマチックな訳ではありませんが、ハルカさんの、前向きで、どんなつらいときにもその中に「いいこと」を見つけようとする心持ちがしゃんとしていて、いい生き方をしてはるなぁ、と思います。読み終わったばかりなので、なんだかヘンに感化を受けてただいまヘンに関西弁が混じっております。ハルカさんは京都系の訛りなのですが、私は育ちの関係で、京都弁のような大阪弁のようなごっちゃな表現しかできずすみません。
 ところで、ハルカさんが、《あるできごと》に対して「私は男のような感覚でソレを捉える」と感じるのにすごく共感しました。私もそれに対しては「自分はほかの女性のような感情は持ち合わせないなぁ。どちらかというと男性寄りの考え方だよ。」と以前から思っておりましたので。
 姫野さんのじりじりした話の進み方は好きであります。ハルカ目線でお話が進んでるのに、途中で、現代の人向けに姫野さんからの【解説】が入るんです。これもおもしろい。それから、元華族のお嬢様の駆け落ち相手の描写が秀逸です。歯医者さんの待合室で読んでいたのですが、笑いがこらえられずに困りました。
 しかし、なんだか急に終わるんです。いつ現在にたどり着くんかなぁ…と思いながら読んでいたので、えっ?えっ?平成まで戻ってけーへんの?とちょっと肩すかしでした。