『13階段』高野和明

13階段

13階段

 今日の通勤時から読み始めたのですが、今までかかって一気に読んでしまいました。明日の仕事の準備どーすんの〜

 きっかけは米原万里さんの書評集『打ちのめされるようなすごい本』です。私が何か書くよりずっと説得力あるので引用しますね。

…寝しなに読み始めたのがまずかった。2001年度江戸川乱歩賞受賞作。1行目から謎解きとスリルの罠に絡め取られて、とにかく途中までおっぽり出せない。最終行まで緊張の糸は弛まず、最後は立て続けにどんでん返しを喰らう。

 まさにその通りです。とにかくずーっと謎めいていて、だんだん霧が晴れてきた!と思ったら、最後の「立て続けのどんでん返し」、こりゃ休み休み読め、という方がムリ。息もつけません。
 暗く凄惨な描写もあるのですが、人物描写の途中にフッとはいる、カメラでいうとひきぎみの風景描写にホッとします。
 そして、スリルを感じるだけではないのです。読み終わって重い物があります。死刑制度や死刑執行について、犯罪被害者の家族について、犯罪・殺人を犯すということについて考えずにいられなくなります。読み終わって気がついたら泣いていました。
 いろいろあって、「それでも私は後ろめたいことしてないんだから、嘘をつかずに生きられるっていいことだよ。ずるいコトする勝者よりずっと胸を張れるよ。これからも上を向いて歩こう。大丈夫、大丈夫!」と、むりむり自分を励ましてきたけど、本当にそれは有難く誇っていいことなんだと改めて感じました。