英華○○

英華○○

 四字熟語の問題です。「英華○○」。
 意味は、

内面に潜んでいたすぐれた才能や美しさなどが表面に現れ出ること。「英華」は美しい花・すぐれたものの意。「発外」は外に出ること。〈『礼記』〉
                『漢検 漢字辞典【第一版】』

です。

 答えは「英華発外」。
 今朝読んだ漢検情報誌「樫の木」の四字熟語クイズの問題の一つです。初めて聞いた四字熟語だったので、ふーんと思ってちょいと広辞苑(第三版)を引いてみました。そしたら、載ってない!四字熟語どころか「英華」「発外」という見出し語すらないのです。広辞苑に載っていないということは、コンパクトな国語辞書にもないと思っていいんだけど、念のため引いてみました。やはり、新明解にも福武国語辞書にも載っていません。
 新しい言葉なんかなぁ…とぐぐってみましたら、「英華発外 の検索結果 約 67 件」なんです!ちなみに、私の好きな四字熟語、「隔靴掻痒」は「隔靴掻痒 の検索結果 約 73,000 件」ですよ。どう考えても67件は少なすぎます。ヒットしたサイトをつらつら眺めるに、主に

  1. 「四字熟語」に関する辞書、データベースの類。漢字の好きな人や漢検に挑戦中の人が作っています。
  2. いわゆる「バトンもの」への回答。自分の好きな四字熟語を答えたり、好きな人を四字熟語でたとえたりする回答に出てきています。

の二種類に「英華発外(一発変換しないよ〜)」が出てくるんです。
 ここまで来たら、と『日本国語大辞典』を引っ張り出します。ありましたよー「英華」(発外はなし)。

えいか【英華】(まる1)外面に現れたすぐれた才能や名誉など。*西国立志編中村正直訳〉一一・四三「その児子の才能夙(つと)に顕はれ、早く英華を吐くことを、急に見んと思ふべからず」*礼記−楽記「和順、積レ中、英華発レ外」(※レはレ点と思ってください。pen-cile)(以下略)

 『礼記』からの言葉で英華が使われたのは分かったけど、四字熟語としての用例があるのかというとわかりません。 それでは『大漢語林』へ。こちらは「英華」は載っていますが、「華やかな光。うるわしい光」などで出典も『礼記』ではありません。で、当然『大漢和』に進むべきなのですが、こればかりは手元にないのです…徒歩三分のところにある大学の図書館に行こうか本気で考えましたが、今日は雨なので…いつか絶対調べますね。
ざっと調べた限りでいうのも何かもしれませんが、
 どうやら、「英華発外」が四字熟語で、「内面に潜んでいたすぐれた才能や美しさなどが表面に現れ出ること」として使うと明記しているのは、『漢検漢字辞典』だけらしいということになりそうです。サイトの四字熟語辞典も、漢検挑戦者がこの辞典を見て作ったんじゃないのかなぁ…それを流用して、次の辞書サイトができるとしたら… バトンの方も、前の人のや同じようなバトンをしている人のを使い回しているのでは?という気がするのです。だって、バトンごときに答えるのに、わざわざ四字熟語調べる人なんて、そうそういないと思うもの(無断で例を出すのも悪いと思うので、ここには載せませんけど、気になった方は「英華発外」でぐぐられるとバトン内での扱いがおわかりになると思います。四字熟語を知らない人たちが使い回してるって感じが。)。
 で、この「英華発外」、冒頭のように「英華○○」として漢検の問題に出てきたとしたら、一体何人の人が正解できるのでしょうか。こんな言葉で四字熟語力を試されるのは「○肉○食」よりいやだなぁ。


 ここまで書いて「ちがーう!(ゴリ風)ということに気づきました〜!!ああ、なんて初歩的なミスを…
 四字熟語辞典、データベースを名乗るサイトの語釈は、ほぼすべて「物事のすぐれた美しさが表面に現れること。すぐれた詩や文章、名誉、ほまれの意。」になっています。これは『漢検漢字辞典』と違います。この語釈の出典がどこかにあるはずだ…やはり、早急に『大漢和』か?いや、『新明解四字熟語辞典』とかも見ないと。まだまだ修行が足りん!