『奥付の歳月』紀田順一郎

奥付の歳月

奥付の歳月

 本を一冊読むと、その本と似た匂いを持つ次の本がどこからかやってきます。記憶の底からやってくることもあります。ある本について語ろうとすると、昔読んだ別の本も芋蔓式に出てきてしまいます。内容だけでなく、表記や文字絡み、挿絵について発見のある本があります。そんな読書の世界の持つ広がりと歓びが伝わってくる随想集です。とにかく挙げられている本が量、質、幅が、ともにその辺の読書遍歴本とは段違いです。そしてどの本も読みたくなります。そして、自分がいかに本を読んでいないか分かって恥ずかしくなります。装丁がいいのに、はまぞうの画像がなくて残念。
 紀田さんの本は、『日本語大博物館―悪魔の文字と闘った人々』も。
こんなの文庫で読んでしまっていいのだろうかーというくらい図版てんこ盛りで面白いです。