『誰か』宮部みゆき

誰か Somebody (カッパノベルス)
 何度も読みかけては中断し、また読みはじめ…を繰り返すこと約四ヶ月、中盤からは一日で一気読み、という不思議な読み方をしました。なかなかはいれなかったんですね、宮部ワールドに。著者曰くの「幸せな人生を送っている探偵役」さんになかなかなじめませんでした。というか、あの人、しあわせそうに感じられないんだもん。
 一番生き生き動いていたのはおもちゃさんの元社長一家です。やっぱり下町の人やたたき上げの職人さんを書く方が上手だなぁ…
 一番心に残ったのは(ちょっとネタバレ)、

「男と女はね、くっついていると、そのうち品性まで似てくるもんだよ。だから、付き合う相手はよくよく選ばなくちゃいけないんだ」
…(中略)…
「人間てのは、誰だってね、相手がいちばん言われたくないと思ってることを言う口を持ってるんだ。どんなバカでも、その狙いだけは、そりゃあもう正確なもんなんだから」

という、探偵さんのお母さんのお言葉でしょうか。
 この探偵さんはシリーズ化するでしょうか。ちょっと難しい気がする……