「沈黙の町で」奥田英朗

 朝日新聞朝刊の連載小説、終わりましたねぇ。唐突な幕切れにびっくりしましたが、現実世界での事件の方が「小説より奇なり」で、もうそう終わらせるよりなかったのでしょう。
 ずーっと読んでいたかというと、実は途切れ途切れなときもあって、今日の投書にも載っていましたが「朝から重くて…」でついて行けない時期がありました。
 そして、連載を終えての奥田さんのコメントが今日の新聞に載っていました。

 …痛感したのは、今回の読者は、私の読者ではなく、朝日新聞の読者であるということだった。ゆえに甘えは許されず、初心に還らざるを得なかった。そして、これだけ多くの読者を相手にしたのも初めてで、マジョリティの力にたじろぐこともままあった。「わかる人だけわかればいい」という態度は、表現者としては失格なのだと、あらためて思い知った次第である。

 連載中に「朝日の」読者からいろいろ意見が寄せられたのでしょうね。でも「相手が誰なのか」を意識することの大切さが伝わってくる気がして、思わず書き留めたくなった次第です。

 ところで次は筒井康隆さんの「聖痕」、今日で4回目です。『朝のガスパール』でさんざんもめたのに、また連載するなんて、朝日新聞は筒井さんをどれだけ好きなんだ…(書評面でも長々語らせてたし)。さて、今回はどうなるかなぁ……この内容、文体、すでにいろんな意見が朝日新聞に届いてるに違いない。