『カラフル』森絵都

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

 向田邦子のエッセイに、

読書は、開く前も読んでいる最中もいい気持だが、私は読んでいる途中、あるいは読み終ってから、ぼんやりするのが好きだ。砂地に水がしみ通るように、体のなかになにかがひろがってゆくようで、「幸福」とはこれを言うのかと思うことがある。
(『夜中の薔薇』「心にしみ通る幸福」より)

とあって、誠に同感なのですが、今回は電車の中で、到着駅に着く寸前に読み終わってしまったものですから、ぼんやりできなくて誠に残念でした。帰り道、もう一度しみじみと読み返しました。
 もともとは○子が本屋さんで「これ買って〜」と持ってきたのです。それは少年少女向けの○●文庫だったのですが、それがなんだかくたびれた感じで(きっとたくさんの子どもか買おうかどうしようか迷ったり、立ち読みしたりしたのでしょう)、でも子どもの本って、同じ本をたくさん置いてないから、それ一冊しかなくて、新しく買うのにパリッとした本でないのがなんだか悔しくて、「文庫なら新品あるよ、読める?」「うん」ということで文春文庫で購入。○子、初めての大人の文庫本です。で、彼女が先に半分以上読んでいたのですが、通勤本のなくなった私が「ちょっと貸して」ということで先に読了。今日の晩ご飯はプラプラの話で盛り上がりました。同じ本を読むのはいいねぇ。