『2140サープラス・アンナの日記』ジェマ・マリー著・橋本恵訳

2140 ~サープラス・アンナの日記~

2140 ~サープラス・アンナの日記~

 黒字に銀箔文字(鉄条網があるからね)のカバーに丸窓が開いていて、アンナがこちらを見ています。不気味だけど、アンナから目が離せない、どんなお話が始まるのか開きたくなる、そんな装丁です。
 ジャンルはヤングアダルト、○子が小学生新聞の広告を見て「読みたい〜」というので二、三年ほど前に買いました。さすがに当時(四年生くらい?)はその字の細かさと分厚さにびっくりして、ずーっとツン読だったのですが、最近ついに読破。「おもしろかった−。続きがあるみたいやからそれも読みたい。」と言うので、そんなに面白い本なら私も読んでみましょうと手を伸ばしました。
 こないだは1984年のロンドンの話でしたが、今度は2140年のロンドンの話。この頃未来づいてます。その未来都市ロンドンでは、不死薬〈ロングライフ〉が開発されて、人間は病気もしないし歳もとらない、そして死ななくなりました。死なないのですから、どんどん人口が増える。それでは大変なので一家一子制に、それでも増えるので、ついに、子供を産むなら「宣言」しないといけない社会に。そして、「宣言」なしで生まれた子どもは「サープラス」として収容所に入れられてしまって……というお話。
 主人公のアンナは、ウィンストンと同じくひょんな事から日記を手に入れ、それに字を書くことによって目覚めていきます。そして、彼女もオーバーオールを着ています。この辺は大いに影響を受けているのでしょうか。どちらにしても「書くこと」は何かを生み出すとそれぞれの作者が思っているのは間違いないです。大いに共感します。
 さすがに『1984年』ほどものすごい展開にはならないのですが、これはこれでやっぱりいろいろ考えます。それから、これはヤングアダルトとは違う視点やなあと自分でも思うけど、〈ロングライフ〉の弱点、妙に身につまされます。生々しい現実感があって怖いです。
 続きも手に入れました。今、○子が読んでいます。同じ本を読むとちょこっと感想を話したり、会話の端々に物語のセリフを仕込んだりして楽しめるのがイイですね。