『遠い「山びこ」』佐野眞一

遠い「山びこ」―無着成恭と教え子たちの四十年 (新潮文庫)

遠い「山びこ」―無着成恭と教え子たちの四十年 (新潮文庫)

 AKB48握手会に行ったりしながらも、読んでる本はすっかり「山びこ学校」づいております。
 副題は、「無着成恭と教え子たちの四十年」。昭和二十三年の『山びこ学校』に生活綴り方を書いた生徒たちと、彼らを指導した無着先生はその後どうなったかを追った本です。あの時代に出版されて、ベストセラーになって、「やまびこ学校」の生徒は、マスコミや世間の中でもみくちゃになります。自分の作品を「もう載せないで」と返してもらいたがったり、何十年も経ったあとでも自分の中で封印してたり(佐野さん、取材拒否されます)、そんなに注目されてたのに、彼らの生活は……
 そして、無着成恭もいろいろあったみたい…が、どうもこの辺は「あの時代を知ってる人なら、無着先生はご存じの通り…」みたいな感じになっていて、マスコミ御用達教育者みたいな無着時代を知らない私にはいまいちよくそのニュアンスがつかめませんでした。
 山元村の「山びこ」以前の歴史から丁寧に追っていて、勉強になりました。
 しかし、自分の文章が活字になるなんて、夢みたい、そんなこと経験してみたい……と、今なら思うものだろうに、それにすっかり翻弄されるなんて、なんとマスメディアはこわいこと。しかも山元村まで…