BSマンガ夜話 井上雄彦『リアル』

 『リアル』が取り上げられると言うことで、久しぶりにBSマンガ夜話を見ました。みくしのコミュのおかげで今夜の放送が分かってよかったです。大月さんもお痩せになったみたい。夏目さんはもう少し飄々としたイメージがあったのですが…
 けっこうおもしろかったけど、話が脱線したり(いいこと言いそうな人の発言を誰かが遮ってしまったり)、「やっぱり井上さんは天才だと思います。」的なありきたりな発言があったりすると、もう、時間がないんだからやめてよ!といらいらする。高橋が脇キャラだったのは有名な話でしょ。見守る人の話はおもしろかった。野宮が井上さんに似てくる話とか。
 あと、この作品は、井上さんもどこに行くか分からなくて、登場人物はそれぞれみんな人生を背負ってて、それを描き込んでいるうちにみんな勝手に動き出しちゃう、という話がおもしろかったです。「みんな勝手に育ってしまって、雑草ぼうぼう状態ですよ」って岡田さんが。そしたら石川さんが「あるんだよ。主人公が勝手に動き出しちゃうの。『え、おまえそんなことするの、おい、どこ行くんだ』って。」という感じの発言されたのが興味深かったです。あ、この人マンが家なんだと改めて思いました。石川さんが『バガボンド』と『リアル』の絵柄の違いをペン遣いがらみで説明しようとしたときに、夏目さんの発言で話が逸れてしまって残念。

 でも今夜は、細かい表現は忘れてしまったけど(コミックス持ってきたらいいんだけど面倒なので)、「満ち足りてしまったら生きてる意味がない」みたいな台詞があるそうで(タイガー宅での酒盛りのシーン)、そこに反応しました。
 欠けているものを探したり、大きな問題を解こうと必死でもがいたりするところに人生の醍醐味があり、それが幸福なんだ、という表現、先月あたりの岡田斗司夫の例の朝日新聞の悩み相談にありました(子どもが欲しくない人妻からの相談)。で、「ほんまにそうやなぁ」と思ったとたん、向田邦子の『隣の女』にも同じようなフレーズが出てきたのです。そのときに向田さんの文を引用してちょっと書き留めて置こうかと思ったんだけど書きそびれました。そしたらまたまた出会ってしまったこのフレーズ。こんなに引っかかってくると言うことは、今、自分に一番言い聞かせるべき言葉なのだと思います。ラスボスを倒したら世界が平和になってめでたしめでたしのはずなのに、ゲームオーバーになって冒険がなくなってしまうものね。冒険はこれからだ!と攻めの姿勢を忘れずに!(「お楽しみはこれからだ!」とアニメでは仙道君が言うんですよね。彼にしては珍しくアグレッシブな台詞)