『卒業 雪月花殺人ゲーム』東野圭吾

卒業 (講談社文庫)

卒業 (講談社文庫)

 この季節にふさわしいタイトルですね。
 この間読んだ『どちらかが彼女を殺した』に登場した刑事さん、加賀恭一郎、「恭一郎」なんて珍しいというか「萌え」な名前を刑事につけるか〜と思いつつ、はて、この書き方は、どうやら前にも登場した人物らしい…と気になっておりました。本屋さんで見たらやっぱりあるんですね、一連の加賀恭一郎シリーズ。で、この話は、加賀恭一郎が刑事になる前、大学生のときの話です。「白鷺荘」というのが見取り図付きで出てきて、時代を感じます。仲が良かったはずなのに、お互い何も分かっていなかった…と淋しくなります。
 ところで東野さんの推理小説は自分には向いていないのでしょうか、何度も読み返してしまいました。登場人物が覚えられない……読み終わってからも反芻して、やっと腑に落ちたという感じでした。加賀君はこれから人間味が出てくるのかな、楽しみだな、というところです。次は『眠りの森』を読みましょう。それにしても(ネタバレすれすれですが)、青酸カリはどこから手に入れたのか…書いてあった?

 さて、小説とは全然関係ありませんが、恭一郎萌え。
 「恭一郎」は、当時の少女漫画では珍しい(少女漫画誌上初ではないか、とヒゲクマさんはどこかで書いてました)長髪男性イケメンキャラのお名前であります。そう、私立探偵・神恭一郎。腰までのロングストレートに三つ揃い、レイバンのサングラスしてました。かの『スケバン刑事』で有名ですが、初登場は『愛と死の砂時計』です。ロケットペンダントがキーになる殺人事件です。他にもあちこちに出てました。『オレンジは血の匂い』とか『左の目の悪霊』とか。手塚治虫氏曰くの「スターシステム」というやつですね。神さんのおかげでブルマンというコーヒーがあると知りました。コミックス全部持ってたのに、今も実家にあるかなぁ…神さんのその後ですが、人気キャラは「行方は杳として知れない」でフェードアウトさせると、必ず続編で復活させられる運命にあります(行方不明+記憶喪失になってたとか)。そこで神もサキもスターシステムから降りるために大変なことになったのでした。話がずれるのでやめときます。
 神恭一郎出演作品をもう一つ。彼はかの『ガラスの仮面』にも登場しています。たった一ページ。『花とゆめ』連載時のお遊びですが、なんと、速水真澄と電話でお話ししています。学生時代の親友なんだって。そのせいで、今でも時々ガラカメ関係の質問板に「神恭一郎ってだれ?ミンキーキャッツって?」と書き込まれています。真澄さんは今も健在(というか終わらせてもらえない)なのに、神恭一郎は今や謎の人物なんですね。

神恭一郎事件簿 2 オレンジは血の匂い (MFコミックス)

神恭一郎事件簿 2 オレンジは血の匂い (MFコミックス)