『きみの友だち』重松清

きみの友だち (新潮文庫)

きみの友だち (新潮文庫)

 『赤ちゃんと僕』もそうだけど、人を殺さずに泣かせてみろ〜!と思わずにいられませんでした。
 『きみの友だち』は、内容より書き方を少し。
 誰かが「きみ」をどこからか見ていて、ときどき「きみ」の気持ちを慮ってくれる、という不思議な書き方になっています。この「きみ」というのは「you」のことで、女の子と名前ではありません。念のため。
 本が手元にないので正確には書けませんが、
「丸子がいなくなってしばらくして、浜子は駆けだした。廊下をぐんぐん走る。きみの言ったことがどんなに丸子の心に響いたか、きみは今やっと気がついたんだ。」
 こんな感じです。ちなみに浜子も丸子も原文には出てきません。こんなトーンだったとマネしながら書いただけ。
 こんな風に唐突に「きみ」が出てくるわけで、
「え?、浜子と丸子以外に『きみ(==喜美とか紀実とか)』が出てたっけ?」と何度も確認してしまいます。しまいには、
「『きみ』は『あんた』のことやからね。」と自分に言い聞かせながら読み進めました。
 この「きみ」という人称、効いているのかなぁ?最終章で「きみ」と読んでいた人が誰だったかわかるのですが、この人だったことで落としていいのか?と。でも作者が、作者の考えた終わり方が最高の終わり方だと解説で書いていましたから、わざわざ書いていましたから(この繰り返し、打ち間違いではないからね)、これが最高の終わり方なんだと思います。
 書き方ではなく内容は、いろいろあります。好ききらいがありそうですが、私みたいな中学生はいなかった…