『プリズンホテル 冬』浅田次郎

プリズンホテル冬

プリズンホテル冬

 うーん…人生いろいろなんだけど、各エピソード、各登場人物、どーしてもプリズンホテルが絡まなきゃいけないのか??と思いつつ、最後の盛り上がりを期待して(浅田次郎さんは、海南の牧のようにスロースターターかも)、一生懸命最後まで読みました。
 もう一つ気になるのは、木戸孝之介のあまりにも道をはずした愛情表現振りで、しかも作者はそれを生い立ちのせいだからと容認しているんだけど、やっぱりいやだ。「自分に甘く、他人にきびしく団塊世代」の見本のようだ。木戸は作者の投影なんだろうけど。でもやっぱり木戸は生い立ちにこだわりすぎてる。母を捜す描写は秋編で読みました。冬編でも同じようにこだわるんかい……ミッチーのように、過去の後悔を引きずりつつも、それでも前進せねばなりません。過去は清算してほしいものです。それが今回のクライマックスで、次の巻(たぶん完結編なのでしょうけど)では清子と孝之介の関係はもう少しまともであってほしいものです。