『プリズンホテル 秋』浅田次郎
- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1994/08
- メディア: 単行本
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これは「夏」の方が好きかなぁ…と思いながら読んでおりました。連載された雑誌のせいか、前巻よりドロドロした感じです。流血とか濡れ場絡みとか。
でも、青山警察署第四係松倉係長のセリフにはぐっときました。
「俺わかんねえもの。自分がどこの誰だか、何をしてるんだか、ずっとわからねえんだ」
松倉は泣きわめきながらつい口にした自分の言葉に愕いた。その通りなのだ。もしかしたら自分は戦い続けてきたヤクザどもの中に喪われた自分の姿を探していたのかもしれない、と思った。
私のこと?とびっくり。ヤクザと戦ってはいませんが、自分がどこの誰だか、何をしてるんだか…本当に、この歳になってもさっぱり(というか、ますます)、わかりません。
ナナちゃん、みかちゃんは泣かせるためのキャラだよね。ずるいなぁ…通勤中のバスの中で、しっかり泣いてしまいました。
それにしても上の引用部分、「愕く、喪われた」と、『憑神』に共通する動詞の使い方が…これが浅田節なのか?