『闇の穴』藤沢周平

闇の穴 (新潮文庫)

闇の穴 (新潮文庫)

 井上靖に続いてしぶい人を選んでしまいました。
 もともと藤沢周平は好きでありまして、文庫はほとんど持っております。特に新潮社モノ。特に好きなのは、『三屋清左衛門残日録』『よろずや平四郎活人剣』そして『用心棒日月抄』シリーズ。そうそう、『春秋山伏記』も捨てがたい。暗さや寂しさの中にもユーモアや先の明るさの混じる作品の方が読んでいて救われますので好きですね。というわけで、多分、男性なら筆頭にあげる人もいるであろう『密謀』などの謀略モノ、海坂藩モノはすこし敬遠気味です。でも忍者を育てるあの話はよかったなぁ…(書名忘れました。あとで確認します)など書いているとまたぞろ読みたくなるのでした。
 この本は短編集で、『闇の歯車』とよく似たトーンのお話からはじまります。で、真ん中あたりの「閉ざされた口」(だったと思う。今、本が手元にないので)が好き。あと、最後の2つは冬の夜に聞きたいようなちょっと怪奇な物語。こんなトーンのお話は珍しいのでそれはそれで楽しかったです。山伏記を思い出してしまいました。