『バッテリー』のこと

 先々週になるかな、全六巻読みました。
 大河小説ではなくて、巻が進むにつれて方向が定まっていった感じです。
 だって、第一、第二巻で出てきた人たち、最後には全然出てこないんです。美術部出身のお父さん、ちょっと芯のありそうな国語の先生、同じクラスのおとなしめだけど主張のある女子、巧にミョーにからむクラスメイト、困った担任、オトムライ…最初はこの人達も絡ませながら、学園物として話が作られるはずだったんじゃないのかなぁ。
 でも、作者は自分で作り出したおミズと海音寺に惹かれてしまって、彼らにのめりこんでしまった…豪や巧さえもかすむくらいに。ケータイを介したテンポのいい会話が一番楽しそうに書かれてたもの。
 元監督のおじいちゃんも弟の青波も、なんとか絡ませていたけど、後半は無理に登場させていたような感じがしました。青波は好きだったんだけど…外伝でいいから、成長を書いてほしいなぁ。
 才能に選ばれた人の物語って、最初はその人の苦悩や努力が描かれるんだけど、次第に準主役でその天才と競う人、支える人の方がストーリーの中心になること、連載ではよくありますよね。『ガラスの仮面』を読むたびに思うのですが、美内すずえさん、どんどん姫川亜弓が好きになって、書き込んできてるもの。巧や秀悟(だったよね)より瑞垣、海音寺の気持ちがよくわかってより書きたくなるんですよね。バッテリーの物語のはずなのに、そう読めなかったなぁ…
 バッテリーとしては、第一、二巻で豪がキャッチャーとしていろいろ駆け引きを考えるところが好きでした。それと、巧−吉貞vs豪。
 それにしても、最後の試合、もっと見たかったなぁ…
 何度か読み返したかったのですが、返却期限が来てしまいました。返却したら、「お、この本は予約がいっぱいでね」と館員さんがつぶやきながらより分けていました。