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NHK教育の長寿番組「おかあさんといっしょ」で先日初めて聴いた曲。「ごめんねピーマン」。こんな感じの歌詞です。
♪ごめんねピーマン 食べられない 無理して食べたら頭がクラクラした…仲良くなれないよ。
歌のお兄さんがタンゴのリズムに会わせて歌います。すごいのは、「そんなピーマンだけどがんばって食べるよ!」「いつか君と仲良くなりたいよ」みたいな「よい子ぶりな歌詞・結末」が全く出てこないところです。初めから終わりまで徹頭徹尾、「嫌いなんだごめん」と歌い続けるのです。
映像も徹底しています。ピーマンのかぶり物をつけたお姉さんが、お兄さんと踊ろうとするのですが、おにいさんはそんなピーマンお姉さんを邪険に扱います。つないでいた手を急に離したり、こけたおねえさんをほおっておいたり…
なんでこんな歌を作ったんだろう、子どもに聴かせてどうするつもりかしら。
子ども番組って、どうして「嫌いな食べ物との戦い」をテーマにしたがるのでしょう。そして、ピーマンがやり玉に挙がるのでしょうか。
クレヨンしんちゃんもピーマンが嫌い。昔のオープニングに
♪ピーマン残しちゃいけませーん!
という歌詞がありました。それにしょっちゅう、お皿に乗った「ピーマンの千切り炒め」を食べるか残すか、みさえと駆け引きを繰り広げています。
おジャ魔女どれみの瀬川おんぷちゃんもピーマンが嫌い。下級生に給食はおいしいよ(好き嫌いはダメだよ、だったかも)、とアピールしようとして、嫌いなピーマンを無理に食べ、真っ青になってトイレに駆け込み吐いてしまう、というお話がありました。
「ごめんねピーマン」を始め、嫌いな食べ物との攻防話が流れるたびに、子どもたちには、ピーマンやにんじんが「子どもを困らせる悪いヤツ」に見えるのではないかと心配になります。
今までふつうに野菜を食べていた子が、「しんちゃんは食べないんだ。じゃあ私も。」「そうか。ピーマンははき出すほどまずいんだ」と思い始めるのでは…というには私の取り越し苦労でしょうか。
妹は、小さいとき、「嫌いな食べ物がないねん。なんか恥ずかしい…」と嘆いていました。挙げ句、「私が嫌いないのはラッキョ!」と嫌いな食べ物を見つけ、喜んでいました。嫌いな食べ物があって当たり前…ということをテレビは刷り込んでいないかしら?
しかし、「ごめんねピーマン」は一度聴いたら忘れられません。もう何日も前に、たった一回聴いただけなのに、今でも「♪ごめんねピーマン」と、ふと口ずさんでしまいます。また聴きたいしあの踊りを見たい…
…あれ以来、流れないなぁ。抗議の電話でもあったのかしらん。