「武士道エイティーン」誉田哲也

武士道エイティーン

武士道エイティーン

 武士道シリーズ完結しました。ネタバレするかも。
 『武士道セブンティーン』で、「武士道とは、剣道とは」を彼女たちなりに考え、結論出したし、スタイルの違うクラブの話もしたし、家族問題も二人ともそれなりに乗り越えたし、スランプにはその前の『武士道シックスティーン』でどっぷり浸かったし……。一体、香織と早苗の物語には何が残っているのか!?やはり最終対決なのか!?最後のページは
「蹲踞の姿勢から立ち上がったあたしの前にはおまえがいる。」
みたいな、今から対戦だ、的な一文で終わるのかと思ったのですが、何の何の、物語中盤(やや後半か?)で二人はあっさり対戦を終え、おまけに高校も卒業しました。
 そして今回は、香織と早苗を取り巻く人々にスポットが当たっています。早苗のお姉ちゃんとか、田原さんとか。それから、神奈川のキリヤ先生と福岡の先生も見事に絡まされていたし。それぞれ面白かったけど、お姉ちゃんの話があとでもう一回ぐらい出てくるかと思ったのになかったのは意外でした。
 それから、スポーツ小説と切っても切れない「怪我」も出てきます。使われ方は、「スラダン桜井戦術」というべきものでした。おそらく作者は、
「このまま行ったらnineteen、twenty…とドラゴンボール的に書き続けなければならないのかもしれない…」と思ったのでしょう。怪我の話は好きではありませんが、「おお、なかなかうまく使ってるやん」と思いました。しかし、「やっぱり、場合によっては書いてもいいかも」的含みで終わったなぁ。どうなるのか!?