『秀吉と利休』野上弥生子

秀吉と利休 (新潮文庫)

秀吉と利休 (新潮文庫)

 近年稀なることに、毎週きちんと見ている江で毎週のように登場する、茶坊主の役目をしながら実は政治的なはかりごとを得意とする、昔は宗易と呼ばれていたが、てんか様の腹心の部下のようでありながら、茶の湯の面においては師匠でもある石坂浩二扮する千利休が、岸谷五朗がぬらりくらりとした表情とだらしなさを目一杯見せながら演じる豊臣の秀吉と、一体いかに絡んでどう転んで切腹になってしまうのかに存外の興味を持ち、職場の本棚から黄ばんだ文庫を拝借して読んだこの一、二週間なのでした。
 と言う具合の文のオンパレードで、読みながら自分流に読み下したり翻訳したり、とにかく読み解くのに時間がかかりました。一つの文にぎゅうっといろいろなことが書き込まれていて、一場面を描写する情報量の密なこと(↑上の文は只単にダラダラ長いだけ。それなりに組み込んだつもりやけど。)。
 密に情景も気持も書き込まれているので、文は難解ですが、利休と秀吉の心の内はよく分かります。2人だけでなくて、他の登場人物の気持ちもよく分かって、濃厚な本でした。
 なるほど、切腹の原因はそうだったのか、と思ったら、それは何とこの本ではの話(つまり野上さんの創作)なのだそうです。
「さて、大河はこれを越えることができますやら、ほんに楽しみなことでございます。」←石坂利休調で。


 はまぞう見たら、『利休と秀吉』というのもあるそうな。今度図書館で探しましょう。

利休と秀吉 (集英社文庫)

利休と秀吉 (集英社文庫)