『パレード』吉田修一
- 作者: 吉田修一
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2004/04/01
- メディア: 文庫
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とにかく読み終えたけど、やっぱりちょっとしんどかった。
解説で、川上弘美が「登場人物を好きになった」と書いてあったけど、彼女が好きになったという良介は、彼が語り手である第一章の間は確かに存在したのだけれど、次の章に入ったとたん、桃子のオーナーというぼんやりした影になってしまいました。その調子で各章、話者が変わるのですが、どの登場人物も語ってるうちは存在しているのだけれど、語られる側になるとぼやーっとした影になってしまいます。つまりはどの章の人物も、他の人物のことを影のようにしか感じていないということなのか。そう思うと、この書き方はすごい(でもどうやらこれは狙って書いたことではないみたい。少なくとも川上弘美はそんな風には読んでいません)。
内容は、二人で住んでいるうちに、何か別物がいるような気がする…という感じのことが最後のほうに書いてあって、それは分かる気がしました。ご飯の配膳をしているときに「もう一人いるんじゃなかったっけ。」と思うこと、時々あるから。
あとは、自分たちの部屋を外から見ているところ。世界の外にいる感じっておもしろいです。何か夢を見ているような気がして。
語られる人物が影のように感じるのは、一気に読まなかったせいかもしれません。何日かかけて読んだから。