『圏外同士』冨士本由紀

圏外同士

圏外同士

 例によって図書館で何気なく手を取った「きれいな」本。寝る前にちょっとだけ読んでみるか…のはずが、結局最後まで読んでしまいました。
 乃絵ちゃんというデザイナー志望の女性が(女性なのになぜ「ちゃん」付けなのか?読めば分かります)、食い詰めたあげく、あるおじさまのスカウトである食品会社で働き出します。うまくいけば喜び組待遇だったのに…
 おもしろかった〜。作者のこと全然知らなくて、最初は過剰な修飾語に「うへぇ」って感じだったのですが(いつから江戸っ子になったんだ)、だんだんその人目線の言葉遣いが(章によって目線の持ち主が変わります)うまくなってきて、最後に行くほど描写について行きやすくなりました。また別の作品も借りてみたいです。
 ぐいっと頭をもたげ始めた乃絵ちゃんにぐっときました。がんばれがんばれ。キセキが起こるテンポのよいところも好き。