『駅から5分』くらもちふさこ

駅から5分 1 (クイーンズコミックス)

　５つの短編からなっていますが、舞台が同じ町で、登場人物たちがちょこちょこニアミスします。で、最後に「駅から５分ワールド」という相関図がついています。こんな相関図描けるくらい考えて描いてあるんか〜と感心。
　一つ一つのお話もおもしろい上に、お話同士が絡み合っているから二度美味しい！マンガ家って、絵が上手いだけでもすごいのに、なんでこんな物語まで思いつけるのでしょう。くらもちふさこはどのお話も構成がしっかりしていて、ワンパターン（誰とはいわないが、暗い過去を持つ男とノーテンキ、ポジティブな女の子のラブストーリーばっかり描く人もいるでしょ）でないから好き。
　あと、すごいのは「episode4」でのネット掲示板のビジュアル化。つい最近書評で斎藤美奈子が「これからは小説の中でまで私的なブログや掲示板とつきあわなければならないのかと思うとうんざりする。」みたいなことを書いていましたが、ブログや掲示板に頼って話を展開させたいなら、この「episode4」くらい工夫しないと似たり寄ったりの作品が増えるでしょうね。くらもちふさこなんてもう大御所なのに、まだまだこんな最先端な技法を作り出せるところがすごいわぁ。