『手紙』東野圭吾

手紙 (文春文庫)

手紙 (文春文庫)

 両親亡き後、たった二人の肉親だったのに、お兄さんが人を殺して刑務所に入ってしまいました。娑婆に一人残された弟の人生は…
…ここまではよく知られているのであらすじすらすら書いてもいいですよね。ここからもう少し内容を。
 順調に行くかと思いきや沈み、またはい上がるけど、次の苦難の波がやってくる…というとんでもない重たい話です。弟の直貴は頭がよくて努力家で、人を惹き付ける歌声を持ち、影のあるハンサムでモテモテタイプなんだけど、それだけ天賦のものを持ちながら、お兄さんの存在が彼の人生に大きく立ちはだかるのです。
 私にも娘がおりますので、お兄さんの存在が娘の人生まで脅かし始めたときはつらかったです。自分ではどうにも守ってやれないのですから。直貴のつらいつらい決断は、本当にそれしかなかったと思います。
 日曜版に連載されていたそうですが、毎休日の朝に読むのはつらいかも。
 人を殺める、罪を犯してしまうと、自分の人生はもちろん、家族や親しい人たちの人生まで狂わせてしまう。昨日起こった乱射事件、おかあさんが教会に泣きながら電話をかけてこられたそうですが、これからあのおかあさんはまさに直貴になってしまう…いや、その前に、銃をそんなに何丁も持たせたらいけないですよ。
 DVDも、演技派がそろっているそうで、かなりいいようですね。機会があったら借りてみます。
手紙 スタンダード版 [DVD]

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