『楽園(上)・(下)』宮部みゆき

楽園 上

楽園 上

楽園 下

楽園 下

 またまた図書館で新刊を一番に借りてしまいました。たまたま行ったら入ってたわけで、なかなかラッキーでした。
 『模倣犯』で活躍したライター前畑滋子、事件後九年ぶりに再始動、そして依頼人登場です。…なんだそうですが、実は先日も書いたけど、読んでいないのです『模倣犯』。凄惨なイメージがあるので。でも「前作を読んでいなくても十分楽しめる内容だ」とどこかに書いてあったのでこちらだけ読みました。
 読み終わって…やはり、今後も読まないと思います『模倣犯』。前畑滋子は今回の依頼を、九年前の事件の「弔い」のために受けることになるのだけど、この『楽園』自体、宮部みゆきにとって『模倣犯』の「弔い」なのかもしれないと思ってしまいます。思いのほかたくさんの人を殺してしまった、あんな話になるはずじゃなかったのに…って。読んでもないのにヘンですね。でも、『楽園』より『模倣犯』の方に思い入れや未練があるのよ、私は、と滋子を通して誰かが言ってる気がしてならないのです。前作で、多分(宮部さんが)気に入ったであろう刑事さんも出てくるし。
 構成自体、前作とオーバーラップしているのでしょうか。九年前の事件では、テレビ中継中に滋子が真犯人をつきとめたらしいけど(何度も作中で述べられます)、今回も、テレビ中継中に一つの山場があるのです。
 それから、これは細かいことなのですが、もともとこの作品は新聞連載だそうで、途中置き去りになってしまったらしい伏線があります。

 滋子は足を止めたまま、張り出されている絵を端から端まで眺めていった。色調が豊で、構図がはっきりしていて、よく描けている。ただ、何となく、どれもこれも似通った絵であるように思えるのは、滋子の錯覚だろうか。
(下巻 9ページ)

これはどうなったのでしょうか?読み解かれた方おられませんか〜?