『横書き登場−日本語表記の近代−』屋名池誠

横書き登場―日本語表記の近代 (岩波新書 新赤版 (863))
 浮世絵から辞書、雑誌、新聞、文庫本、果てはマッチのラベルまで、膨大な資料!をもとに、日本語の横書きの誕生と、横書きと縦書きとの絡みの変遷を緻密に繙いてくれている本です。そもそも、書字方向(縦書きとか横書きとかをひっくるめてこういうらしい)について詳しく述べた本は今までなかったそうです。確かに横書きについては、「昔は右から左に書いた」「戦後左から書くようになった」というのは、一般常識として知っていました。しかし、この本を読むと、本当のところどうなのか、どうしてなのか、がよーく分かります。証拠資料もたくさん載っているし。
 実は個人的に、縦書きと横書きって不思議やなぁ…と前々から思っていたのです。決定的になったのは、
もやし人間
と書かれたトラックを見たときから。よく見ると、
「入間もやし」だったのですが。
「何で読み違えたんやろう」「トラックに書かれてる文字って、右側と左側で並びがちがうんちゃうん?」「車の右側は右から読むようにできてるはずでは?」「右から書くということは、英語も電話番号も右からなんか?」などつらつら考えるようになって、トラックを見るたびに観察していたのです。
 この本のおかげで、その謎もやや解けました。

 たまには堅めの本も読んでいるってことで、よろしくね、kawak様♪