『DIVE!!(2)スワンダイブ』森絵都

DIVE!!(2)スワンダイブ 森絵都
 ついつい『バッテリー』と同じように考えていたのですが、違いました。第二巻の主人公は…
 坂井知季ではなく沖津飛沫(おきつしぶき:高二)でした。
「バッテリー」では巧と豪が一応中心に据えられていましたが−−タイトルがそうだもんね−−、「DIVE!!」は文字通りダイバーの物語であって、それぞれのダイバーにそれぞれ物語があるんです。
 この巻は飛沫の巻なのですが、一番印象に残ったのは、選考会で漏れたレイジをねぎらうコーチにレイジが言った次のセリフ。

「でも、ときどき思います。六人でやるバレーとか、九人でやる野球とか……みんなで戦ってみんなで勝てるスポーツはいいな、って」

 それから、夏休みに知季、飛沫、要一が一緒に花火をしたときの、知季の一言。

「なんか、こうやってるとぼくたちも、ふつうの友達みたいだよね」

 同じダイビングクラブに所属しているんだけど、毎日一緒に練習してるんだけど、チームメイトではない、お互いの間に薄い膜がはられ、隔てられている、そんな個人競技の微妙な関係が、個人競技に没頭したことのない私にも伝わってきました。こんな何気ない一言がうまいなぁ。

 飛沫は、色黒で彫りの深い、ちょっとイケメンタイプを想像してしまうのですが(これは名前のせいと思う)、東北の代々漁師の家なのですから、そんな南方系な顔立ちではないはずなのです。で、東北の高校と言えば「山王高校」しか思いつかない私は、飛沫にムリムリ丸ゴリや(トーテム)ポールの顔を当てはめて読んでみるのですが、やっぱりイメージが違うかも…なんせ、唯一彼女のいるダイバーなのですから。ガンクロの流川楓みたいのをイメージしてしまう…。