『永遠の出口』森絵都


『永遠の出口』森絵都 集英社

 「女王の教室」の第一回放映後、公式ホームページの掲示板で、この本の一部とドラマの内容がよく似ているという指摘がなされていました。どんな内容だろうと早速図書館で予約。偶然ですが、予約した日の新聞の書評欄でも取り上げられていました。
 この本を借りようと思ったのは、「女王の…」の掲示板がきっかけなのですが、森絵都の本だというのも大きい理由です。この方は、娘のお気に入り『にんきもののはつこい』の作者なのです。もう図書館で三回は借りています。私も好きな本です。
 「魔性の女」を目指す女の子がクラスの金魚係に恋をする話なのです。子どもにこびることのない、さっぱりした、ちょっと大人もどきっとするお話です。

 さて、本の内容とドラマですが、確かに、第二章の話がよく似ています。これがヒント、下地になっている可能性は十分あり得ますね。女の子の視点で書かれてるし、クラスメートの中にも、ドラマのあの子かな?と感じる子がいます。
 この第二章を読んで、「それから、それから?」と思うようなところをドラマはちょっと見せてくれそうです。普通だったら本を読んだ人が「このお話の続きは…」って一人で想像したり、友達と語り合ったりしますよね。その想像うちの一つを、テレビで見せてくれるという感じかな。
 でも、ドラマの脚本を作るときのヒントになっていたとしても、ドラマは全然別物ですからね。この本を読んだからって、これからのドラマの展開が予測できるわけでないのは確かです。
 この章は、ユーモラスな戦いぶりと明るい未来を示唆して閉じられます。毎回、後味の悪さを華麗なダンスで薄めようとしているドラマとは少し違うのです。

 『永遠の出口』の方の感想を少し。
 主人公の年齢や家庭が『女の子物語』、『幸福な食卓』と重なっています。どうもこのごろ、その年代の主人公と同化して読むことが多い… そのお陰で、どんどん中学〜大学前の自分の過ごした時間が思い出され、まあ彼女たちと比べて、なんと自分はいい加減に生きてきたもんだ、と反省することしきり。エピローグで励まされて涙でそうでした。

 とこれを書いている今、ドラマが放映されているはずですが、事情があってリアルでは見られません。今週は、録画が成功していますように。