白昼のの悲鳴

 仕事から帰ってほっと一息、新聞を読んでおりましたら、外で男の人の話し声がします。ボソボソ声ですが、なんかケンカしてるみたい。
 ちょうど通りに面した方の窓を開けていたので、なんともよく聞こえます。
 一人でしゃべってるみたいだよ、ケータイ相手に怒ってるのかね、けっこう大きな声だね、と思ってましたら、突然、
 「もういいよ。もーえーわっ!」と怒号に変わりまして、
 やや、怒ってるぞ、何だろう?と思った次の瞬間、
 「やめてっ。やめてえぇーーーっっ!」
 女性の絶叫が響き渡ったのです。
 若い女の人の声で、本当に、これが絶叫、というせっぱ詰まった声。
 こりゃどうしんだんだろう、何事!?と思って窓に近寄ります。
 そしたら、車のエンジン音とドアの音(スライド系だったような気もする)。窓から背の高い車があるが見えます。
 女の人はどうなったんだろう?と心配ですが、外に出るのも何となく怖いのです。でもやっぱり道に倒れてたりしたら大変だし、と思ってたら車が動き出したので、そろっと外に出てみました。隣家の生け垣の隙間から、動く車の上部だけが見えます。
 通りを見るとだれもいません。車が動いた通りまで出てみました。もう何もなく、だれもいませんでした。
 向こうから中年の女の人が歩いてきます。日傘を差し、普通の顔をしています。「何か見ましたか?」と聞くのもためらわれるほどの普通の顔です。結局何も聞けずに家に戻りました。
 ただごとならぬ女性の絶叫が耳について離れません。心配です。ただの痴話げんかだったらいいのですが…そんなに人通りの多い町ではないのです。知らない人が来るような場所でもないのです。
 こんなものを見たときはどうしたらいいのでしょうか。交番に行くのもヘンだしねぇ…黙っているとしんどいけど、話す相手もいないし…と新聞に戻ったところで、そうだ、こんなときこそブログだ、とパソコンの前へ。つらつら書き留めてみました。やれやれ、ちょっと、すっとした…