『セ・シ・ボン』平安寿子

セ・シ・ボン

セ・シ・ボン

 平さんがパリに三ヶ月留学したときのことを思い出しつつ書かれたエッセイ集、というか人間観察記。
 今は語学留学なんて珍しくないけど、1979年にパリに三ヶ月も住むなんて、そうできない体験では。日本もまだまだアジアのちっちゃい国、って感じだし。バブルの前だもんね。昭和ですよ、昭和。
 語学留学ってこんな感じなんだろな、とよくわかりました。観光旅行と違うものね。学校とホームステイ先の往復の日々だから、劇的なことがおこるはずもなく、フランス語を勉強しに来た外国人の集まる語学学校で、様々な国籍の人をじっくり観察する時間だけはたっぷりある、と。
 外国に行ったのよ〜!というミーハーなノリはなく、たんたんと書かれているので、「セ・シ・ボン」な気分(あのシャンソンのメロディー)になる感じはありません。説教くさい後書きつき。図書館で新刊借りたので、一番読者でした(←よかったのはそこだけなのか?)。
 装丁は南伸坊さん。裏表紙に作者の顔写真がついていますが、○子曰く、「おかーさんに似てる!」そうです。